日本高気圧環境・潜水医学会より、「減圧症に対する高気圧酸素治療( 再圧治療 )と大気圧下酸素吸入」の見解が発表されました。

ダイバーの方は(特にインストラクターやガイド)、ぜひ、ご一読ください。

情報混乱を避けるためか
見解を出したことの意味

1番伝えたかった事は、減圧症に対して「大気圧酸素投与は一定の効果はあるが、
再圧治療の代替とはならない(酸素吸入だけで十分との見解は、国内外の専門医間でコンセンサスが得られていない)」ということでしょう。

再圧治療については従来通りの内容ともいえ、ダイバーの中には「なぜ今さら?」と思う方もいるかもしれません。

流れとしては、学会において減圧症に対して「酸素吸入だけでよい」との趣旨の講演があったものの、
学会内でのコンセンサスが無い状況の中、一般ダイバーにもリーチ可能な該当医師のセミナーや発信があり、その中で「再圧治療はむしろ悪化させる」という趣旨の話もあったため、
再圧治療を基本とする医師たちは危機感を強め、このような見解を発表したものと思われます。

実際問題、再圧治療が必要であるにもかかわらず、専門医のいる施設が不十分とも述べられている点や、
あくまで重症のケースで軽症の場合は対応が異なるとの点を見ても、酸素が有効であることに変わりはありません。

私見ですが、グレード分けが進めば、いずれ軽症に対しては酸素吸入のみで良いとなるかもしれませんし、再圧治療がむしろ重症化するケースもあったのでしょう。
講演自体も大変興味深いものでした。

しかし、学会で見解が定まっていない状況で、「まずは再圧治療を」「酸素だけで良い(むしろ、再圧治療は悪化させる)」という
真逆のアナウンスが一般ダイバーにされることへの危機感からの発表かと思われます。

良い悪いは別として、我々ダイバーは、医師がデータを示してこうだと言えば、なかなか取捨選択は難しく、「そんなものかな」と思ってしまいます。
リーチする先生によって真逆の対応をすることになるかもしれません。
なので、エビデンスを積み上げ、面倒な手続き(ルール)のもと行われる、専門家の合議制である学会の存在が重要なのでしょう。

ここを踏まえた上で、いろいろな議論に羽を伸ばしてみるとより有意義かなと思います。

遠隔地における治療に光明
第1種装置の有効利用について

また、安全基準において、再圧治療は第2種装置(多人数用)を使用して行わなければならないとありますが、
「第1種装置(1人用)を減圧障害の治療に有効に用いることを可能にすべく、高気圧酸素治療安全基準を見直す」ことが
パネルディスカッション会場の全員によって異議なく賛同が得られ、見解として発表された意義も大きいでしょう。

なかなか第2種装置にアクセスできないダイビングエリアにとってはセーフティネットが増えたことになり、ダイバーにとっても喜ばしいことです。

ただ、現実的なリソース不足という背景もあります。
減圧症は罹患してはじめて困るケースが多いので、まずは、こうした情報をフォローし、隣のダイバーに伝えていくところから始めたいですね。