日本では、バディセルフダイビング
未体験者が少なくない

Cカードの品質が保たれない=「スキル不十分にもかかわらずエントリーレベルとして認
定される」とどのような影響があるのでしょうか? 単純に、スキル不足のダイバーがあふ
れるというだけでなく、さらに問題は複雑です。

エントリーレベルのCカードは、「プロの監督無しで、バディとダイビングができる」というゴールがありますが、日本のダイビング業界では、プロの監督無しで潜れる環境が少ないうえに、プロと潜ることを前提としたビジネスモデルも一般的で、プロと一緒でなければ潜れないと思っているダイバーすら存在します。

以下、バディ(セルフ)ダイビングの経験の有無を聞いたアンケートです。
 

 100本未満では、およそ半分のダイバーがバディセルフダイビング未体験者です。オーシャナの回答者が、アクティブダイバーで情報を主体的に取りにくるダイバーであるというバイアスを考えると、さらに未経験者は少ないと推測されます。
続いて、未体験者にその理由を聞いたアンケートが以下です。
 
Q.なぜ、バディ潜水(セルフダイビング)をしたことがないのでしょうか?

 「自信がない」「怖い、難しそう」「できると知らなかった」などの理由は、本来、Cカード講習でクリアすべき項目であり、「機会(場所)がない」というのは、日本のダイビング事業とCカード講習のモデルが合っていない可能性もあります。

 前項で、2つの課題をピックアップしましたが、それぞれフェーズが異なることと、互いい連動した問題であることをまず確認したいと思います。

〇Cカードの品質管理 → すでに存在するルールの品質管理
〇ガイドのガイドライン → 存在しないのでガイドラインの作成

課題を解決するにあたり、根本であるCカードの品質が一定せず、保たれなくなった原因を考えたいと思います。カリキュラム内容、業態、マーケットなど、いろいろな側面から検討が必要ですが、根本的には以下の2点に集約されます。

〇参入障壁が低い
〇消費者にリテラシーがない

★参入障壁が低い理由と
ガバナンスの重要性

まず、Cカード講習は、指導団体によって内容や理念は異なりますが、多くは、“達成ベース”を採用しています。

個人に合わせた講習がとても重要であることは間違いないですが、主観が入り込む余地を残します。うがった見方をすれば、品質を落としてコストを圧縮したり、料金を下げる抜け道にもなりえるのです。いわば、性善説に基づいた運用といえるでしょう。

そうならないために、通常は、消費者の厳しい目と信頼できる母体組織の存在があるはずですが、ダイビング業界として、そのような明確な組織が存在するとは言い難い現状があります。

ダイビングという水中での特殊な遊びにおいては、消費者のリテラシーが働きにくい環境です。Cカードが1日1万円で取得できるといわれればそんなものかと思いますし、10日で10万円かかるといわれれば、そういうものかと思う可能性があります。普段、生活とはまったく関わらないので、相場感など判断基準が持ちづらいといえるでしょう。
また、自分が受けている講習内容が適切かどうかもなかなか判断がつかない状況で、極端にいえば、欠陥品を買わされたことにすら気づけないケースがあるのです。

そういう意味では、より指導団体や業界団体の品質管理機能が重要な存在ですが、前者はあくまで営利企業でありマーケットに忠実です。後者については、各指導団体が加盟するCカード協議会という存在がありますが、その目的を「最低指導基準の採択と普及」とし、品質管理にまで踏み込んでいません。

その結果、価格競争、コストカット、品質低下という負のスパイラルが生まれるというわけです。ダイビングショップという業態も、インストラクター資格があれば開店できるという状況で、消費者のリテラシーが効かず、業界のガバナンスが効かない状況では、より負のスパイラルを助長します。

★商売になったインストラクター資格

Cカードの品質が保つためには、認定するインストラクターの存在が重要ですが、インストラクター資格の品質低下も問題でしょう。
インストラクターになった理由と活動状況を聞いたアンケートでは、インストラクター資格が職業とは直結していないことが見て取れます。