提言集の発刊に際して、バリ島の事故でお亡くなりになった高橋祥子さんのご親族の方から「あとがき」をいただきました。
これを読んだとき、ご親族の方と同様、私たちも少し報われた気がしました。

不幸な事故が起きてしまったとき、ただ見えなくするのではなく、せめて、何か前進するきっかけにすることが大事だと改めて考えさせられました。

寄稿いただき、ありがとうございました。

あとがき

バリ島で事故が起きたとき、当事者の親族としては、現地に行って捜索をしたい気持ちでした。
しかし、ダイビングにもバリ島にも素人の私は、現地に行って捜索できるわけでもなく、身動きが取れず、ただニュースを見ながら気を揉むことしかできませんでした。混乱 の中で、頼るべき人も信じるべき情報もわからず、ただただ途方に暮れていました。

そんな中、現地の関係者の方々には、事故発生直後から本当にご尽力いただきました。
ボランティア捜索隊の指揮を執ってくださっていた方が、数名が無事救助された旨の無線連絡を聞かれた瞬間、泣き崩れていらっしゃったのをテレビで拝見しました。
残念ながら全員救出とはいかず、仲間を失ってしまったことへの無念さは、遺族とはま た違った辛いものだとお察しします。

あれから3年余りが経ちました。

3年の間に、地震などの自然災害を含め、山での遭難や登山中の雪崩による被災のニュースをたびたび目にしました。
日本で暮らし、ダイビングもしない私でも、こうしたニュースを目にするたび、バリ島のダイビング事故を思い出して落ち込んでしまいます。

しかし、あの事故をきっかけにバリ・セーフティ・トラスト・ジャパン(BSTJ)が設立され たり、提言集が発信されたりと、安全なダイビングのための活動が進んだことを知り、少し報われたように思います。

大きく報道されたことで、寺山さんをはじめとするダイビング界の皆様には後々までご心労をおかけすることになってしまいましたが、このような形で前向きな活動につなげてくだ さったことに大変感謝いたします。
この先、ひとつでも不幸な事故が防げるよう、皆様の活動のご成功と安全で楽しいダイビングライフを送られるよう心よりお祈りいたします。

2017年4月15日
高橋祥子さんご親族