代表の寺山です。
先日、「安全ダイビングの提言集」のテーマと執筆者をお伝えしましたが、今回は、テーマの選出理由をお伝えします。
01.Webを利用したダイビング事故情報の継続的な有効活用
秋元智道氏/ビットノット株式会社代表(BuddyDiveウェブシステム開発)
【テーマ選出の理由】
当NPOは、寄付者の「今後の安全ダイビングのために活かして欲しい」との意思表明に基づき、事故の再発を 防ぐことを主たる目的としています。
そのうえで、事故情報や安全ダイビングのための情報収集・発信を行えるこ とは重要で、とりわけ、IT化著しい昨今、Webを活かした仕組みを模索したいと考え、テーマとして選出しました。
02.海外ダイビングツアーにおける法的リスクについて
上野園美氏/ダイビング事故訴訟担当弁護士
【テーマ選出の理由】
海外のダイビングツアーおいて、受け入れ側、参加者側それぞれが、ダイビング事故の際に生じる法的リスクを 知っておくことは重要です。
日本で最もダイビング訴訟を担当する弁護士による、実際の裁判を想定した、準備すべきこと、事故発生時にすべきことの検討、アドバイスは参考になると判断し、選出しました。
03.パラオダイビング協議会における漂流事故への対策と有用性
遠藤学氏/元パラオガイド
【テーマ選出の理由】
海外ダイビングでは、必ずしもすべての海で緊急時の救難体制が整っているとはいえません。
そこで、過去の漂流死亡事故を教訓に、緊急行動システムを運用し、今や世界一との呼び声高い人気ダイビングエリアとなった パラオから学ぶことは多いはずです。
パラオのダイビング事業者の取り組みを具体的に紹介していただきます。
04.ドリフトダイビングの潜り方および注意点について
加藤栄一氏/ガイド会所属パラオガイド
【テーマ選出の理由】
“流れ”に乗って潜るドリフトダイビングは、ちょっとの判断ミスが、漂流など重大事故につながるリスクをはらんでい ます。
そこで、世界のプロフェッショナルガイドが集まるガイド会から、ドリフトダイビングのガイド験豊富なガイドに、その潜り方や注意点を示していただくことは、現実的な事故防止に役立つでしょう。
05.民間ダイバーと公的機関が連携したレスキューの可能性
加藤大典氏/ SDI TDI ERDI JAPAN 代表
【テーマ選出の理由】
ダイビング事故発生時には、公的機関や民間ボランディアがレスキューや捜索にあたりますが、海外ではERDIという公的機関と民間ダイバーが連携するプログラムを持つ団体が存在しています。
ダイビング事故だけでなく、災害や事件などにおいて、民間ダイバーが役割を担う可能性をさぐるべく、テーマとして選出しました。
06.海外の医療ネットワークを持つDANの果たす役割
小島朗子氏/ DAN JAPAN事務局
【テーマ選出の理由】
ダイビング事故の際は、海外における事故への対応が1つの課題です。
そういう意味では、レジャー・スキューバダイビングの海外ネットワーク、事故者に対する緊急医療援助システムを持つDAN(Divers Alert Network)の果たす役割は重要と考えます。
07.ドリフトダイビングのリスクヘッジ
田原浩一氏/ IANTED・TDIインストラクタートレーナー
【テーマ選出の理由】
流れに乗って潜るスタイルの「ドリフトダイビング」は、ひとつ判断を間違うと、重大な漂流事故にもつながりかねません。
そこで、ドリフトダイビングにおけるリスクと、リスクを事前に取り除く準備をすることは重要だと考え選出しました。
08.レジャーダイビング産業の現状と課題、解決の道筋
寺山英樹氏/オーシャナ編集長
【テーマ選出の理由】
ダイビングの安全を考えるとき、その根本となるダイバー認定(Cカード講習)の果たす役割は大きい。
しかし、質の低下や均質性が保たれていない現状に対して、どのような解決法があるのか考えることはとても重要です。
そこで、メディアというレジャーダイビング産業を俯瞰して見られる立場の視点から解決策を示してもらうことは有益です。
09.必要なエマージェンシーグッズと多層的なリスク想定の重要性
中田誠氏/市民スポーツ&文化研究所 特別研究員
【テーマ選出の理由】
漂流のリスクに備えるには、受け入れ体制や潜り方など、いくつかのアプローチがありますが、道具や装備の観点から検証し、有効なものを知っておくと安心です。
そこで、ダイバーはどのような装備が必要なのか、さらに、ダイバーが身につけておくと有効な具体的なエマージェンシーグッズを提言していただきます。
10.事故から見えるダイビングの安全と広範な情報収集の必要性
野澤徹氏/水中科学研究所
【テーマ選出の理由】
事故の再発を防ぎ、今後の安全ダイビングに活かすためにまず必要なことは、事故について知ることです。
長年、事故情報の収集、分析をしてきた筆者に、具体的な施策を提言していただくためテーマとして選出しました。
11.日本と海外における救難体制の違いと留意点〜タイの事例を中心として〜
藤野彰氏/イースタンネットワーク・オフィス フジノ代表
【テーマ選出の理由】
バリ島の事故では、海洋警察、軍、民間、ボランティアそれぞれが捜索活動に加わるなど、事故時の対応に注目が集まりましたが、各国によって事情は異なります。
日本と海外の救援体制の違いを認識し、どのような行動を取るべきかを考えることは重要です。
12.漂流などダイビング重大事故における保険の課題と解決策
松﨑由晃氏/元あいおいニッセイ同和損害保険(株)
【テーマ選出の理由】
ダイビング事業者、参加ダイバー、インストラクター、旅行社など、多くの立場の人が関わるレジャーダイビングでは、それぞれが加入している保険がありますが、事故発生時、どのように運用されるのでしょうか?
まずは、ダイビングに関わる保険の仕組みや課題を知ることが重要と考え、テーマとして選出しました。
13.漂流時にダイバーが取るべき行動と生死を分けるポイント
三保仁氏/医師・テクニカルダイバー
【テーマ選出の理由】
実際の事故情報から「生死を分けたポイント」を分析し、漂流時にダイバーが取るべき行動を示すことは重要と考えます。
ダイビングの最高峰であるテクニカルダイバーであり、医師でもある著者からの提言は、ダイバーが事前にシミュレーションをし、漂流時に適切な行動を取る上で役に立つはずです。
14.ガイドやインストラクターがとるべき事故時の対応〜沖縄からの考察〜
村田幸雄氏/国際潜水教育科学研究所
【テーマ選出の理由】
ダイビング事故の際、迅速かつ適切な対応は重要です。
そこで、事故発生時、ガイドやインストラクターなど、 受け入れ側のプロダイバーはどのような対応をとるべきなのかを知り、事故発生に備えておくことは重要だと考え、 テーマとして選出しました。
15.アウトドアスポーツにおけるオウンリスク
山中康司氏/日本安全潜水教育協会(JCUE)会長
【テーマ選出の理由】
受け入れ側が管理責任と向き合うのと同時に、参加者側もアウトドアスポーツである限り、自己責任と向き 合わなければいけません。
アウトドアスポーツであるダイバーの自己責任の範囲とはどこまでか、また、自己責任で潜るために身につけるべき技術、知識、意識について考えることは重要だと考えます。